「国試に落ちればただの人」と言われても「結局看護師もただの人だからな。なら看護師の人権をもっと保護してくれ。」と言える立場になるための試験が近くなってきた。
看護師国家試験を控え不安や緊張でどうしようもない、落ち着かない時間を過ごしている時期であると思う。国試が終わればTwitterには根も葉もない噂で、受験者の精神面を突き落とす奴も出てくる。必ず。
ぜひ、この記事を読んで看護師国家試験そのものの知識を深めて、せめて精神面は強く持ってもらいたい。
こなもんです。Twitter:@konnamonga 全くバズらない無駄を呟いています。
看護師国家試験の合格基準

看護師国家試験は合格者数が決まっている訳ではない。一定の合格基準をクリアすることで合格できる試験となっている。
その合格基準とは
- 必修問題の正答率が80%以上
- 一般問題+状況設定問題の点数がボーダー以上
以上の2点である。
①の必修問題は例年通りですと50問なので、その80%=40点が合格基準である。この80%という基準は変動することはない。
②は一般問題が130点(1問1点)、状況設定問題が120点(1問2点)の振り分けになっている。この一般問題と状況設定問題の合計点が、年によって変動する「ボーダー」点数以上であれば合格となる。
また①と②の両方をクリアしている必要があり、たとえ②一般状況設定問題が満点の250点でも、①必修問題が39/50点だったら不合格となる。
これまでの看護師国家試験の合格率
回 | 受験者数(人) | 合格者数(人) | 合格率(%) |
101 | 53,702 | 48,400 | 90.1 |
102 | 56,530 | 50,224 | 88.8 |
103 | 59,725 | 53,495 | 89.6 |
104 | 60,947 | 54,871 | 90.0 |
105 | 62,154 | 55,585 | 89.4 |
106 | 62,534 | 55,367 | 88.5 |
107 | 64,488 | 58,682 | 91.0 |
108 | 63,603 | 56,767 | 89.3 |
109 | 65,568 | 58,513 | 89.2 |
110 | 66,124 | 59,769 | 90.4 |
111 | 65,025 | 59,344 | 91.3 |
おおよそ90±1.5%で推移している。
看護師国家試験の一般状況設定問題のボーダーはいくつ?

結論から言うと、分からない。
ただ、例年の傾向から何点くらいになるのか予測でき、看護師国家試験終了後の2月の下旬頃になれば、より詳細な予想ができるようになる。
それが東アカの発表する平均点と実際のボーダーラインの関係性についてであるが、それは下の「信頼できる情報源はどこなのか」で記載している。
この見出しでは、実際のボーダーラインのみをみていく。
回 | ボーダーライン | 必要得点率 |
101 | 157/247点 | 63.56% |
102 | 160/250点 | 64.00% |
103 | 167/250点 | 66.80% |
104 | 159/248点 | 64.11% |
105 | 151/247点 | 61.11% |
106 | 142/248点 | 57.26% |
107 | 154/247点 | 62.34% |
108 | 155/250点 | 62.00% |
109 | 155/250点 | 62.00% |
110 | 159/250点 | 63.60% |
- 過去10年の最高ボーダー点数は第103回の「167点」
- 過去10年の最低ボーダー点数は第106回の「142点」
- 過去10年の平均必要得点率は「62.678%」つまり平均値は156.7%
- 2年連続でボーダーラインが上がることは珍しい
ということがわかる。
上の表からだけでは分からないが、難化であればボーダーラインは低め、易化であれば高めになる傾向になる。
平均値をとっていればいい、という訳ではないので10年分の傾向から考えると「170点=68%」以上をとっていれば安心ラインと考えても良いと思われる。
ただ、第106回を除く第104回以降は150〜159点内で推移しているので、上に記した平均点に近くなるとは思う。6年分もこの点数付近で推移しているので、エビデンスとしては十分であると思われる。
ちなみに、
なんで第103回ってんこんなに点数高いの!?
と思われた方いる。これは第103回(平成26年度)の前年度・平成24年4月に「国家試験の内容改正」が行われ、計算問題や五肢択一問題、五肢二択問題の出題の決定、出題内容も思考型・統合型に移行したためである。
こういった国家試験に関する内容の改正が行われた年度の次年度は難化傾向になると言われている。
年度 | 看護師国家試験の年 | 第◯回 | 点数(↑↓) |
2012年=平成24年(改正年度) | 平成25年 | 102回 | 160/250点 |
2013年=平成25年度(改正次年度) | 平成26年 | 103回 | 167/250点(↑) |
つまり平成24年に改訂発表があって平成25年の国試で「お試し的」に改訂内容を導入、「お試し」が外れた平成26年の国試は傾向も1年分しかないから「難化」してしまうんだね。
そういうこと。つまり今年の国試は令和5年だから、令和3年に改訂発表があったかを調べればいい。今年は該当の年ではなさそうだ。
そもそもボーダーはどうやって決まっているのか

これが受験生にとって1番理解できない点だと思う。ボーダーは和訳すると「境界」のこと。この境界を踏んで(超えて)いるか、超えていないかで合格が決まる。
ボーダーの決め方ははっきりと公表されていないが以下の通りかと思われる。分かりやすいように国試受験者数は50000人で説明する。
- 受験者数50000人から必修落ち(必修の正答率が80%以下)の人数を引く。(分かりやすく4000人とする)
- 「合格率90%=45000人にしたい」と厚労省が考えているのであれば45000人を上回っているので、一般状況設定問題の正答率を考慮して合格者数を決めなければいけない。
- 必修合格者の中から一般状況設定問題の点数が低い方から順に並べて、①との合計の人数が受験者の下位10%になるようにする。
- つまり①の人数と+④の人数が5000人になるようする
- この時、残りの90%の合格者の中で、一般状況設定問題の点数が一番低い人の点数が「ボーダー」となる。
例年、必修落ちが何人だったのかなどは公表されないため上の考え方は一般的には使えない。
とは言え、この理論がボーダーの決まり方と考えるべきかと思われる。仮に先に合格者数を決定しているのであれば、合格率が毎年90±1.5%で収まることはないんじゃないかなと思う。
つまり↓
今年は60000人が受験!むずかしかったな〜
今年の合格者数は「近年の看護師の需要率を考慮して」54000人にしよう!
(=合格率90%に設定)
(採点後)必修落ちは3000人、残り3000人減らさなきゃか。必修問題合格者の57000人を一般状況設定問題の得点の低い順から並べるか。
残りの3000人を絞ることができた!合格者54000人の中で1番低い点数は155点か。155点がボーダーやな。
ということだ。
上にも記したが、ボーダーラインの決定基準などは公表されていないため、この考え方が絶対に正しい!とは言えない。ただ「例年90%前後で合格率が安定している」ことを踏まえると正確に近いのかなと思われる。
信頼できる情報源について

基本的に信用できる情報源は「厚生労働省」のHP、「東京アカデミー」のHPのみ。
国試終了後にアプリやサイトで「東アカ」「ネコナース」「看護roo!」といったサービスを使うと思う。例年、厚生労働省の出す正答に近い解答を出すのは「東アカ」のサイトである。各社も解答速報を出すが、例年、解答速報の時点で東アカはほぼ正答に近い。
ネコナースや看護roo!の採点アプリは、実際の解答とは違いすぎるんだよなぁ。
また、例年通りであれば「東京アカデミー」が2月の下旬頃に「必修問題」「一般状況設定問題」の平均点を算出する。あくまで平均点ですので、ボーダー点数とは違う。
この平均点は40,000人以上のデータから算出しているので、十分な根拠をもったデータと言えるだろう。このデータの算出方法は第109回から開始したものだが、受験者の7割程度が参加しているのはスゴイ。
そして、これから紹介することが1番お伝えしたいことなのだが
東アカが発表する平均点から30±3点を引いた点数が、厚労省の発表するボーダーラインと同じくらいになると言われている。どういうことか見ていく。
年 | 厚労省発表のボーダー点数 | (2月下旬頃)東アカ発表の平均点 | 差異 |
105 | 151/247 | 182.7 | 31.7 |
106 | 142/248 | 172.5 | 30.5 |
107 | 157/247 | 187.1 | 30.1 |
108 | 155/250 | 187.2 | 32.2 |
109 | 155/250 | 183.5 | 28.5 |
110 | 159/250 | 186.4 | 27.4 |
注意:東アカ発表の平均点は、東アカが作成した正答例に基づく。
注意2:第108回までは東アカ受講生と協力専門学校の集計値から算出。第109回からはウェブ採点を導入し、その点数から算出。
上の表から
- 過去6年の最高平均点は第108回の「187.2点」
- 過去6年の最低平均点は第106回の「172.5点」
- 過去6年で実際のボーダー点数と東アカ発表の平均点の差の最大値は「32.2」
- 過去6年で実際のボーダー点数と東アカ発表の平均点の差の最小値は「27.4」
つまり多く見積もっても東アカ発表の平均点−27点を超える点数を取っていれば安心できる!
逆に考えると東アカ発表の平均点から33点以上マイナスの人は・・・。
あと、よくあるのが国試後のTwitterのタイムラインで「余裕だった」「今年はボーダー170は超えるらしい」「今年はボーダー190は超える」「学校の教員が『今年は平均点高いからボーダーも高くなる』って言ってた」という内容のツイートがめちゃくちゃたくさん呟かれる。
先に言っておく。
全部無視でいい。
看護学生の皆さんは、今までの実習は根拠をもとにアセスメントしてきたと思う。
上に記載した内容のツイートに根拠はありますか?学校の教員が言ってたってことを信じますか?仮に信頼できる人が言っていたとしても、その教員の情報量はどの程度ですか?東アカのもつ40000人ほどの情報量に匹敵しますか?
60,000人近くが受けるのだから簡単と思う人もいれば難しいと思う人もいるはず。
そもそもボーダーが170点近くになるのであれば、年々段階的に上がっていくはず。急激な難易度の変更は絶対にない。
「Twitterの根拠のない情報に惑わされずに、合格発表か東アカの平均点の発表を待て」
まとめ

ここまでをおさらいする。
●合格率は90±1.5%
●ボーダー点数は合格発表までは分からない。ただ、東アカが発表する平均点から30±3点を引いた点数が、実際のボーダーと同じくらいになる
●信用できる情報源は「厚労省」「東京アカデミー」
●東アカが発表するのは平均点であって、ボーダーラインではない
●根拠のないTwitterに惑わされてはいけない
ということになる。
情報の取捨選択をしっかりと行い、根拠のない情報源に惑わされずに最後の春休みを楽しむべきだ。
情報の取捨選択は大切だね。って、厚労省と東アカを信用しろっていうけど、このサイトは大丈夫なの?
・・・・・・・・・・。
いろいろな情報をもって書いてますので安心してほしい。
ちなみに、早ければ合格発表前に配属先が決定している場合がある。
病棟勤務が開始になった時に、最低でもメインの疾患については知っておくと便利だ。勉強法はこれまで通りで良い。
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